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NEWS 2017
糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗體「オビヌツズマブ」の 製造販売承認申請について
日本新薬および中外製薬株式會社(本社:東京、代表取締役會長 CEO:永山 治 以下、中外製薬)は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫」を対象として國內で共同開発を進めておりました糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗體「オビヌツズマブ(遺伝子組換え)」(一般名)について、本日、中外製薬が製造販売承認申請を厚生労働省に行いましたことをお知らせいたします。
日本新薬 執行役員研開企畫統括部長の森 和哉は、「共同開発を進めてきたオビヌツズマブが、製造販売承認申請に至ったことを大変喜ばしく思います。當社が注力する血液がん領域の治療薬を、今後新たに製品ラインナップに加えることで、醫療現場からのニーズにお応えするとともに、患者さんの治療により一層貢獻したいと考えています」と述べています。
中外製薬 上席執行役員プロジェクト?ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブと化學療法の併用は、標準治療として長く行われてきました。新たな治療選択肢となるオビヌツズマブは、濾胞性リンパ腫の治療において、これまでのリツキシマブを上回る有用性が確認されました」と述べるとともに「私たちは國內でも本剤をいち早く患者さんへお屆けし、より良い治療の実現に貢獻できるよう盡力してまいります」と語っています。
今回の申請は、ロシュ社が実施し國內からも參加した國際共同第III相臨床試験(GALLIUM試験)等の成績に基づいています。
GALLIUM試験は、1,401名の未治療のCD20陽性進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫患者さんを対象に、リツキシマブと化學療法を併用した導入療法後にリツキシマブの維持療法を継続した群(リツキシマブ群)に対する、オビヌツズマブと化學療法を併用した導入療法後にオビヌツズマブの維持療法を継続した群(オビヌツズマブ群)の有効性と安全性を比較した非盲検ランダム化國際共同第III相臨床試験です。GALLIUM試験の主要評価項目は主治醫評価による濾胞性リンパ腫患者さん(1,202名)における無増悪生存期間でした。
なお、副次的評価項目は獨立評価委員會判定による無増悪生存期間、全生存期間、および安全性等でした。
主要評価項目については、オビヌツズマブ群はリツキシマブ群と比較して濾胞性リンパ腫患者さんにおける病勢進行?再発?死亡のリスクを34%、統計學的に有意に減少させました[ハザード比:0.66(95%信頼區間:0.51-0.85)、P=0.0012(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日]が、無増悪生存期間の中央値は未達でした。副次的評価項目については、獨立評価委員會判定による無増悪生存期間の中央値は未達でしたが、病勢進行?再発?死亡のリスクは29%減少しました[ハザード比:0.71(95%信頼區間:0.54-0.93)、P=0.0138(層別Log-rank検定)、データカットオフ日:2016年1月31日]。全生存期間は両群ともイベント數が少なく中央値は未達でした。安全性については、GALLIUM試験において両群で発現した有害事象はこれまでに報告されたものと同様でした。オビヌツズマブ群でリツキシマブ群に比べ5%以上高く認められたGrade 3以上の有害事象は、好中球減少(43.9%対37.9%)でした。
オビヌツズマブは、非ホジキンリンパ腫の治療薬として國內外の治療ガイドラインで推奨されているリツキシマブと同様、幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するタンパク質であるCD20に結合する、糖鎖改変型タイプII抗CD20モノクローナル抗體です。オビヌツズマブは、標的となるB細胞を直接かつ體內の免疫系とともに攻撃して破壊するようデザインされています。
國內では、2012年の悪性リンパ腫の罹患者數は約2.7萬人、死亡者數は約1.1萬人と報告されています1, 2)。國內では悪性リンパ腫に占めるホジキンリンパ腫の割合が8~10%程度と報告されていることから3)、非ホジキンリンパ腫の罹患者數は約2.4萬人、死亡者數は約1.0萬人と推定されています。悪性リンパ腫の罹患者數、死亡者數は近年増加傾向にあり1, 2)、非ホジキンリンパ腫の罹患者數、死亡者數も増加傾向にあると考えられています。
日本新薬および中外製薬は、CD20陽性のB細胞性濾胞性リンパ腫の患者さんならびに醫療従事者に新たな治療選択肢となるオビヌツズマブを早期に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。
1. 國立がん研究センターがん対策情報センター 地域がん登録全國推計によるがん罹患データ(1975年~2012年)http://ganjoho.jp/
2. 國立がん研究センターがん対策情報センター 人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2015年)http://ganjoho.jp/
3. 日本血液學會 造血器腫瘍診療ガイドライン(2013年版)第1.2版 http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/table.html
以上