肺動脈性肺高血圧癥治療薬 「ウプトラビ?錠」販売開始のお知らせ
日本新薬株式會社(本社:京都市南區、社長:前川重信、以下 當社)が創薬し、國內ではアクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式會社(本社:東京都港區、社長:田中諭、以下 アクテリオン ジャパン)と共同開発した、肺動脈性肺高血圧癥治療剤「ウプトラビ?錠0.2mg、同0.4mg」(一般名:セレキシパグ、以下 本剤)につきまして、本日、販売を開始しましたのでお知らせします。
肺動脈性肺高血圧癥(PAH)は、心臓から肺へ血液を送る肺動脈の血圧が何らかの原因で異常に上昇する予後不良な疾患で、原因が不明な特発性、遺伝性および特定の疾患(膠原病や先天性心疾患等)に伴う二次性のPAHに大きく分類されます。
その薬物治療においては、プロスタサイクリン系薬剤※1、 エンドセリン受容體拮抗薬(ERA)※2 およびホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)※3 の、3種類の作用機序の薬剤が汎用されています。
本剤は、世界で初めての経口投與可能な選択的プロスタサイクリン受容體(IP受容體)作動薬※4です。導出先のアクテリオン社(本社:スイス)が、日本を除く全世界で実施した第3相國際共同試験(GRIPHON試験※5)において、その有効性と安全性が確認され、國內の臨床試験においても、日本人での有効性と安全性が確認されています。
當社は、本剤の発売により、既発売のERA製剤オプスミット?錠、PDE5i製剤アドシルカ?錠とともに、異なる3種類すべての作用機序のPAH治療剤を品揃えすることになります。
本剤の、國內における販促活動については當社とアクテリオン ジャパンが共同で行いますが、両社が協力して確実に、いち早く醫療現場にお屆けすることで、PAH治療により一層貢獻したいと考えています。
<製品概要>
【承認取得日】 | 2016年9月28日 |
【薬価収載日】 | 2016年11月18日 |
【発売日】 | 2016年11月21日 |
【製品名】 | ウプトラビ?錠0.2mg、ウプトラビ?錠0.4mg |
【承認番號】 | ウプトラビ?錠0.2mg(承認番號:22800AMX00702000) |
ウプトラビ?錠0.4mg(承認番號:22800AMX00703000) | |
【一般名】 | セレキシパグ |
【成分?含量】 | ウプトラビ?錠0.2mg 1錠中にセレキシパグ0.2mgを含有する |
ウプトラビ?錠0.4mg 1錠中にセレキシパグ0.4mgを含有する | |
【効能?効果】 | 肺動脈性肺高血圧癥 |
【用法?用量】 | 通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投與から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投與する。 |
【薬 価】 | ウプトラビ?錠0.2mg?。骸?,407.90円 |
ウプトラビ?錠0.4mg?。骸?,815.80円 | |
【包 裝】 | 100錠(10錠×10)PTP |
<補足説明>
※ 1 プロスタサイクリン系薬剤について
プロスタサイクリンは、血管內皮細胞において産生され、血小板や血管平滑筋細胞のプロスタサイクリン受容體(IP受容體)を介してアデニル酸シクラーゼを活性化し、細胞內cAMP産生を促進し、細胞內へのカルシウム流入やトロンボキサンA2生成を抑制します。これにより、強力な血管拡張作用と血小板凝集抑制作用、血管平滑筋増殖抑制作用を発揮します。PAHの患者さんではこの働きが弱まっています。プロスタサイクリン系薬剤は、プロスタサイクリン自體、あるいはその誘導體を補充し、プロスタサイクリンの働きを高める薬剤です。
※ 2 エンドセリン受容體拮抗薬(ERA)について
血管を収縮させる働きを持つ體內物質エンドセリンは肺高血圧癥の患者さんの體內に多く存在し、エンドセリン受容體に結合することで作用します。ERAは、このエンドセリンとエンドセリン受容體との結合を阻害する薬剤です。
※ 3 ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)について
PDE5と呼ばれる酵素は肺の血管に多く分布しており、血管を拡張させる體內物質であるサイクリックGMP(cGMP)を分解します。PDE5阻害薬は、このPDE5によるcGMPの分解を阻害し、cGMPの働きを強めて肺の血管を拡張させる薬剤です。
※ 4 プロスタサイクリン受容體(IP受容體)作動薬について
IP受容體は、プロスタサイクリン(PGI2)が結合することによって血管拡張等に働きます。PAHの患者さんではこの働きが弱まっており、IP受容體作動薬は、この働きを強める薬剤です。
※
5 GRIPHON試験について
GRIPHON試験は、長期、イベント駆動型の第3相試験で、PAH患者さんを対象に、最初の病態悪化イベントあるいは死亡イベントが発生するまでの時間に対するウプトラビ?錠の効果を検討した試験です。実施國は39ヵ國に及び、エントリー患者數は1,156名、投與期間は最長4.2年に達しました。ウプトラビ?錠は、morbidity/mortality(病態悪化/死亡)のイベント発生リスクをプラセボ群に比較して約40%抑制し(p<0.001)、主要な部分集団(年齢、性別、WHO機能分類、PAHの病型ならびに、376名(32.5%)のERAおよびPDE5i併用例を含むPAHの基礎治療)を通して一貫して有効性が認められました。
以上