肺動脈性肺高血圧癥治療薬 「ウプトラビ?錠」の製造販売承認取得のお知らせ
日本新薬が創製し、アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式會社と國內で共同開発した肺動脈性肺高血圧癥治療薬「ウプトラビ?錠」(開発番號:NS-304 一般名:セレキシパグ)につきまして、本日、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。
肺動脈性肺高血圧癥(PAH)は、心臓から肺へ血液を送る肺動脈の血圧が、何らかの原因で異常に上昇する予後不良な疾患で、原因が不明な特発性、遺伝性および特定の疾患(膠原病や先天性心疾患等)に伴う二次性のPAHに大きく分類されます。治療には、プロスタサイクリン受容體(IP受容體)作動薬※1、エンドセリン受容體拮抗薬(ERA)※2、ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)※3などが用いられています。
ウプトラビ?錠は、PAH治療剤として歐米各國などでも広く承認、販売されている、世界で初めての経口投與が可能な選択的IP受容體作動薬です。血管拡張作用や血管平滑筋細胞の増殖阻害作用等を有し、PAHに対して長期的な有効性を示します。導出先のアクテリオン社(スイス)が実施した、第3相國際共同試験(GRIPHON試験※4)の良好な結果により歐米で承認され、米國では本年1月から販売、歐州でもドイツで6月から販売されています。その他、カナダで6月から販売されており、オーストラリア、ニュージーランドおよび韓國で販売承認が取得されています。
當社は、既発売のERA製剤オプスミット?錠、PDE5i製剤アドシルカ?錠に加え、作用機序が異なるウプトラビ?錠を患者さんのもとに一日も早くお屆けすることで、PAH治療により一層貢獻したいと考えています。
なお、國內における本剤の販促活動は、既発売のオプスミット?錠と同様、當社とアクテリオンジャパンが共同で行います。
【承認內容の概要】
販売名: | ウプトラビ?錠 0.2mg、0.4mg |
一般名: | セレキシパグ |
効能?効果: | 肺動脈性肺高血圧癥 |
用法?用量: | 通常、成人にはセレキシパグとして1回0.2mgを1日2回食後経口投與から開始する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で1回量として0.2mgずつ最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、最高用量は1回1.6mgとし、いずれの用量においても、1日2回食後に経口投與する。 |
<補足説明>
※1プロスタサイクリン受容體(IP受容體)作動薬について
IP受容體は、プロスタサイクリン(PGI2)が結合することによって血管拡張等に働きます。PAHの患者さんではこの働きが弱まっており、IP受容體作動薬は、この働きを強める薬剤です。
※2エンドセリン受容體拮抗薬(ERA)について
血管を収縮させる働きを持つ體內物質エンドセリンは、PAHの患者さんの體內に多く存在し、エンドセリン受容體に結合することで血管を収縮させます。ERAは、このエンドセリンとエンドセリン受容體との結合を阻害し、血管を拡張する薬剤です。
※3ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)について
PDE5と呼ばれる酵素は肺の血管に多く分布しており、血管を拡張させる體內物質であるサイクリックGMP(cGMP)を分解します。PDE5阻害薬は、このPDE5によるcGMPの分解を阻害し、cGMPの働きを強めて肺の血管を拡張させる薬剤です。
※4 GRIPHON試験について
GRIPHON試験は、長期、イベント駆動型の第3相試験で、PAH患者を対象に、最初の病態悪化イベントあるいは死亡イベントが発生するまでの時間に対するウプトラビ?錠の効果を検討した試験です。実施國は39ヵ國に及び、エントリー患者數は1,156名、投與期間は最長4.2年に達しました。ウプトラビ?錠は、morbidity/mortality(病態悪化/死亡)のイベント発生リスクをプラセボ群に比較して約40%抑制し(p<0.001)、主要な部分集団(年齢、性別、WHO機能分類、PAHの病型ならびに、376名(32.5%)のERAおよびPDE-5i併用例を含むPAHの基礎治療)を通して一貫して有効性が認められました?! ?/p>
以上